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腰痛を持っている日本人は2,800万人とも言われており、多くの方が腰の痛みに悩まされています。
- 腰椎椎間板症と椎間板ヘルニアの違い
- 腰椎椎間板症とぎっくり腰の違い
- ぎっくり腰と慢性腰痛の違い
また、ひどい腰痛というと真っ先に考えるのが「ぎっくり腰」ですが、「ぎっくり腰」に似た症状の腰椎椎間板症と呼ばれる腰痛を発症しているケースもあります。
腰痛を引き起こす点では「ぎっくり腰」と変わりがないのですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
また、似たような症例である腰椎椎間板ヘルニアとは何が異なるのでしょうか。
今回の記事では、腰椎椎間板症とヘルニア、ぎっくり腰との共通点や違い、治し方などについて詳しく解説しています。
腰椎椎間板症とは
まず、最初に聞き慣れない腰椎椎間板症について説明します。
腰椎は5個の椎体という骨で出来ていています。
この5個の椎体と椎体の間にあるものが、椎間板と呼ばれるものです。
椎間板は髄核(ずいかく)と呼ばれる水分を含んだゼリー状の組織と軟骨組織で出来ていて、腰椎に加わる衝撃を和らげるクッションの役目をしています。
腰椎椎間板症とは
加齢やストレスなどで髄核の水分が減り弾力性が低下することで椎間板の変性を引きこし腰椎椎間板自体に痛みが発生する症例のことです。
腰椎椎間板症の症状
腰椎椎間板症の症状は腰痛です。
ぎっくり腰に似た痛みが出ることがありますが、とくに前屈の姿勢を取る場合に痛みが出やすいのが腰椎椎間板症の特徴です。
顔を洗うときや靴下をはく動作など、前かがみになると腰痛が出やすくなります。
前屈によって変性した髄核が、ずれて亀裂が入るためこのような痛みが生じますが下肢に痛みの症状をともなうケースは多くありません。
また、腰椎椎間板症が悪化すると髄核が外に飛び出して神経を圧迫する腰椎椎間板ヘルニアに移行する場合があり、痛みがあるのに無理な動作をおこなった場合、ぎっくり腰を引き起こすリスクも高くなります。
腰椎椎間板症とヘルニアの違い
腰椎椎間板症と腰椎椎間板ヘルニアの痛み【症状】の違いをまとめると以下のようになります。
・腰椎椎間板症の痛み 髄核が変性し亀裂を起こす椎間板自体の痛み
・腰椎椎間板ヘルニアの痛み 髄核が外に飛び出して坐骨神経や大腿神経を圧迫、傷つける痛み
腰椎椎間板症の診断はMRIを使う
腰椎椎間板症にともなう異常の発見は、主に骨を見るためのレントゲンでは発見が難しいため通常MRI検査でおこなわれます。MRIの画像検査で診ると、正常な椎間板は白く映りますが、腰椎椎間板症の場合は黒く写ります。
また、腰椎椎間板症の中には初期の段階ではMRIでも異常がなく痛みがないケースもあります。
しかし、腰のこりや動きの違和感があれば腰椎椎間板症の疑いがあります。違和感を放置しておくと腰痛を起こす可能性もあり早めの対処が必要です。
腰椎椎間板症の原因は
腰椎椎間板症の原因についてご紹介します。
腰椎椎間板症の原因としては、主に以下のような点が挙げられています。
加齢による椎間板の退行変性
冒頭でもお話ししましたように、腰椎椎間板症は、椎間板の退行変性によって起こります。
年齢を重ねるごとに髄核の水分が失われ椎間板の構造が変化し、結果として症状を引き起こすのです。
若いころの椎間板は外周を線維輪と呼ばれる軟骨が覆っており、中心部に半流動体で水分量の豊富な髄核が存在しています。
その二重構造が、クッションとなり腰椎にかかる負担を軽減しているのです。
ところが、加齢にともなって上記の二重構造が損なわれることで椎間板の退行変性が起こり腰椎椎間板症を発症する結果となるのです。
前屈姿勢や偏った荷重の負荷
腰椎椎間板症の主な原因は加齢ですが、偏った荷重の負荷も発症リスクを高めます。
とくに腰椎が前屈した状態を続けた場合、腰椎椎間板症を発症しやすくなると考えられています。
椅子に座っているときに症状が悪化しやすいのもそのためです。
腰椎椎間板症の予防方法
いったん腰椎椎間板症を発症すると、改善までに時間を要します。
腰椎椎間板症は安静により症状は改善していきます。適切なリハビリを施すことは腰椎椎間板症を治すためには必要です。
しかし、運動を実施すると再度痛みが出現することが多いのも特徴です。痛みが強い場合は、安静にし、痛みが強くなる運動は避けることが必要です。
そのため、普段から腰椎椎間板症を発症しないよう、予防する意識を持つのが重要です。
また、前述したように放置すると腰椎椎間板ヘルニアに移行する場合もあるので、早期の治療が重要となります。
腰椎椎間板症の予防法としては、次のような例が挙げられます。
体幹の筋力の低下を防ぐ
体幹(全身から四肢を除いた部分)の筋力が低下すると、上半身をまっすぐに支えるのが困難となります。
その結果、腰椎にかかる負担が増し、腰椎椎間板症を発症するリスクを高めます。
普段から可能な範囲で筋トレに取り組み、体幹の筋力低下を防ぐのが重要です。
股関節の柔軟性を保つ
医学界やスポーツ界では、股関節が硬いと腰痛を引き起こしやすいのは定説となっています。
股関節が硬いと地面からの衝撃が吸収できず、腰椎にかかる負担が増すからです。
そのため、日常的にストレッチをおこない、股関節の柔軟性を保つようにしましょう。
日頃から正しい姿勢を意識する
腰椎椎間板症の症状は、腰椎の前傾によって増悪するとされています。
そのため、日頃から注意して猫背の姿勢を避け、上半身をまっすぐ伸ばす正しい姿勢を意識しましょう。
ぎっくり腰と腰椎椎間板症の違い
次に、腰椎椎間板症とぎっくり腰との違いをご紹介します。
原因の違い
先述した通り、腰椎椎間板症の原因は、主に加齢による椎間板の退行変性です。
ぎっくり腰は20代~40代に多く発生します。ご高齢の方でも「ぎっくり腰」を発症する可能性はありますが、加齢は必ずしも発症の要件とはなりません。
症状の違い
腰椎椎間板症の症状としては、主に前屈時の腰の痛みが挙げられます。
また、腰椎椎間板症の場合、足の痛みやしびれといった下肢症状をともなうケースはあまり見られません。
ぎっくり腰の場合、足の痛みやしびれを併発するケースも少なくありません。
下肢症状をともなうかどうかが、腰椎椎間板症とぎっくり腰の見分け方の1つとなっています。
治し方の違い
腰椎椎間板症による腰の痛みは、神経に炎症を起こした結果として起こります。
椎間板の変成自体は元に戻りませんが、神経の炎症は時間の経過とともに収まってきます。
ただ、炎症が収まるのに時間が掛かるため、ブロック注射などで改善を図るケースも少なくありません。
ぎっくり腰も基本的には保存療法で経過を見守ります。
痛みがあまりにも激しい場合は、投薬治療やブロック注射をおこなうケースもあります。
椎間板ヘルニア と ぎっくり腰の違い
最後に、椎間板ヘルニアとぎっくり腰の違いについてご紹介します。
はじめにお断りしておきますが、椎間板ヘルニアとぎっくり腰の見分け方は容易ではありません。
そのため、下記のような症状がある場合、速やかに医療機関で検査するようにしましょう。
原因の違い
ヘルニアの原因は、椎間板にかかる偏った荷重です。
偏った荷重がかかり続けると椎間板内から髄核が飛びだし、神経圧迫を起こします。
その結果、腰痛や臀部痛、下肢痛などを引き起こすのです。
ぎっくり腰は、実は病名ではなく、腰部に急な痛みが出る現象を意味します。
ぎっくり腰の原因として、椎間板ヘルニアが潜んでいるケースも少なくありません。
両者の見分け方が難しいのもそのためです。
症状の違い
椎間板ヘルニアとぎっくり腰の症状にはそれほど大きな違いがありません。
いずれも腰痛や足の痛み、しびれなどをともなうのが特徴です。
ただ、ぎっくり腰の場合、発症から2日ほど激しい痛みに見舞われる点が違いとなっています。
治し方の違い
椎間板ヘルニアもぎっくり腰も、基本的に保存療法で経過を見守る点では違いがありません。
ただ、ヘルニアが原因で何度もぎっくり腰を繰り返す場合、手術療法を検討するケースもあります。
慢性腰痛とぎっくり腰の違い
一口に腰痛といってもさまざまな種類があるため、素人では判断が付き兼ねるケースもあるのではないでしょうか。
そこで、代表的な腰痛についてその違いを見ていきたいと思います。
まずは、慢性腰痛と急性腰痛といわれる「ぎっくり腰」の違いについてご紹介します。
原因の違い
慢性腰痛とぎっくり腰とでは原因が異なります。
慢性腰痛は「いつの間にか痛くなっていた」ケースが多く、原因があまりハッキリしません。
一方、ぎっくり腰の場合「重い荷物を持ち上げて痛めた」などハッキリした原因があります。また筋肉の断裂や関節などへの外傷から激しい痛みを伴います。
症状の違い
慢性腰痛の場合、腰部の違和感や重圧感、鈍い痛みなどが見られます。
ぎっくり腰の場合は、動くのも困難なほど激しい痛みに見舞われます。
治し方の違い
慢性腰痛は温めるのが基本ですが、ぎっくり腰の場合は一時的にアイシングをおこないます。
ぎっくり腰の痛みが激しい場合、痛み止めを服用したり、ブロック注射をおこなったりするケースもあります。
慢性腰痛の場合、基本的に投薬治療はおこないません。
まとめ
腰椎椎間板症は、主に加齢による椎間板の退行変性が原因となって起こります。
椎間板内に侵入した神経線維が炎症を起こし、その結果として腰痛があらわれるのです。
腰椎椎間板症の特徴としては、前傾時の痛みが挙げられます。
炎症は時間の経過とともに収まるので、猫背の姿勢を避け、椎間板への負担を避けるのが重要です。
ただ、一般の方にとって腰椎椎間板症やヘルニア、ぎっくり腰を見分けるのは容易ではありません。
そのため、症状が長く続く場合や、痛みが激しいときは、なるべく早めに医療機関で相談しましょう。