変形性股関節症の原因と症状チェックポイント

変形性股関節症の原因と症状チェックポイント

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股関節の痛みや動かしにくさがあり、「もしかして、変形性股関節症かも?」と思っていませんか。
また、病院で変形性股関節症と初めて診断され、どういう病気なのか気になっているかもしれません。
この記事では、

  1. 変形性股関節症とは
  2. 変形性股関節症の原因は?
  3. 変形性股関節症の症状チェックポイント

などについてご紹介します。

目次

変形性股関節症とは

変形性股関節症とは
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ることにより、疼痛や可動域の低下、日常生活動作の制限が生じる疾患です。
日本での発症年齢の平均は40〜50歳で、患者さんの多くが女性です。
また、変形性股関節症の発症には遺伝の影響があるとされています。

変形性股関節症はどのような症状が起こるのか

変形性股関節症の症状は、大きく分けると「痛み」と「機能障害」です。
発症初期には、立ち上がりや歩き始めなど動作を開始する時に脚の付け根の痛みを感じますが、進行するに従ってより強く、持続した痛みになります。
機能障害は、股関節の可動域が低下するために生じます。典型的な症状として、足の爪が切りにくい、靴下が履きにくい、和式トイレ使用や正座ができない、などがあります。

変形性股関節症の痛み

変形性股関節症では股関節の痛みが特徴的です。
股関節を保護している滑膜が繰り返し刺激され、炎症が起こることが痛みの原因と考えられています。
病状が進行すると、レントゲンで股関節の隙間が狭くなっていく様子が確認できますが、関節の隙間が狭くなるに従って痛みも増悪します。

変形性股関節症原因は

変形性股関節症には、原因のはっきりしない「一次性変形性股関節症」と、背景に何らかの原因疾患のある「二次性変形性股関節症」に分けられます。

一次性変形性股関節症

一次性変形性股関節症では背景となる疾患は存在せず、要因として、加齢変化、体重増加、肉体労働、スポーツなどが考えられています。
高齢化が進むことで、加齢性変化による一次性変形性股関節症は増加の傾向にあります。

二次性変形性股関節症

二次性変形性股関節症の多くは寛骨臼形成不全が原因であり、8割以上を占めます。

その他の原因としては、以下のようなものがあります。

• 小児期の股関節疾患(ペルテス病、大腿骨頭すべり症など)
• 大腿骨頭壊死症
• 炎症性疾患(関節リウマチ、血清反応陰性脊椎関節炎など)
• 外傷性疾患(股関節脱臼、股関節骨折など)
• 内分泌代謝疾患(先端巨大症、副甲状腺機能亢進症など)
• 感染性疾患(化膿性股関節炎、結核性股関節炎など)
• 腫瘍性疾患(滑膜骨軟骨腫症など)

このように、稀なものを含めると二次性変形性股関節症の原因は多岐に渡ります。

変形性股関節症セルフチェックポイント

ここまで、変形性股関節症の症状や原因についてご紹介しました。
その中でも、変形性股関節症に特徴的な項目をチェックポイントとしてまとめてみます。

「もしかしたか、変形性股関節症かも?」と思われた方は、以下の項目に当てはまるかどうかをチェックし、受診する際の参考にしてください。

  1. 変形性股関節症のチェックポイント
  2. 親類に股関節疾患の人がいる
  3. 子供の頃、股関節に異常があると言われたことがある
  4. 股関節周囲に痛みがある(押さえると痛む、歩行時に痛む、安静にしていても痛む)
  5. 足の爪切りや、靴下を履くことが難しい
  6. 歩く速度が遅くなった

変形性股関節症は遺伝の影響があると言われています。

また、原因疾患として寛骨臼形成不全や大腿骨頭すべり症などがあり、子供頃に股関節の異常が指摘されたことがあるかどうかを確認してみてください。
股関節周囲の痛みは、初期はほとんどないか、もしくは歩行時や運動時にのみ生じますが、進行すれば安静時にも痛みが出るようになります。

機能障害の例として、足の爪切りや靴下を履くなどの動作が難しくなります。

痛みや、変形の程度が強くなると、足を引き摺るように歩く跛行(はこう)と言われる症状になります。跛行が出現すると病状はかなり進行していることが予測されます。

変形性股関節症の進行について

変形性股関節症は、股関節の変形の程度によって、大きく4つの段階に分けられます。

前股関節症

最も軽度な状態であり、股関節の隙間にわずかな狭小化があるのみで、骨の構造はほぼ変化していません。
痛みなどの自覚症状はほとんどありません。

初期股関節症

軟骨が少しずつ摩耗し、関節の隙間が狭くなってきます。
関節面に、骨棘形成と呼ばれる骨の変化が出現します。
多くの患者さんで、この段階でもまだ強い自覚症状はありません。最も初期の症状としては、「股関節がだるい」などといった訴えとして現れます。

進行期股関節症

軟骨の摩耗の程度が強くなり、関節の隙間が高度に狭小化します。
骨棘形成や骨硬化と呼ばれる骨の変化がはっきりします。
症状として、痛みや動作の制限が徐々に生じるようになります。
痛みは、重いものを持つなどで負荷がかかった時、動作を開始する時などに出現する場合が多いです。
動作の制限は股関節の内旋・外転から始まるため、足の爪を切る、靴下を履く、和式トイレにしゃがむなどの動作が難しくなります。

末期股関節症

軟骨がほとんど消失し、骨同士が触れ合う状態となります。
骨硬化は広範になり、著明な骨棘形成をみとめます。
ここまで病変が進むと、痛みの程度が増し、高度な機能障害が出現します。
痛みは安静時や夜間の睡眠時にも生じるようになります。疼痛のため動作を逃避するようになり、大腿四頭筋や大臀筋の筋力低下をきたします。
股関節の可動域制限が進み、患側は見かけ上短縮します。

まとめ 変形性股関節症の治療について

変形性股関節症の特徴や原因、症状のチェックポイントなどについてご紹介しました。

変形性股関節症では多くの場合、遺伝や小児期の疾患などの何らかの背景がありますが、現在は加齢性変化に伴う症例も多くあります。
股関節の変形が進行するに従って、症状が悪化し、痛みへの対処や根本治療が必要となります。

前期や初期の変形性股関節症の治療は、関節への負荷を軽減した筋力訓練や痛み止めによる対症療法が中心となります。進行期以降では、人工股関節置換術などの手術療法が検討されます。
気になる症状が現れた場合は、専門機関を受診し、今後の治療方法を相談するようにしてください。

参考文献

・日本整形外科学会 変形性股関節症
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/hip_osteoarthritis.html
・変形性股関節症診療ガイドライン2016
https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/osteoarthritis-of-the-hip/osteoarthritis-of-the-hip.pdf
・高橋正明監修STEP 整形外科 第4版

この記事を書いた人 ペインクリニック専門医師 TOMOKO

名前 TOMOKO
職業・資格 麻酔・ペインクリニックを専門とする医師
プロフィール 手術麻酔や術後管理に従事するかたわら、肩こりや腰痛に代表される
慢性痛の診療にも尽力しています。
ライターとして 「tomoko」のニックネームで医療系記事を中心に
執筆活動も実施。趣味はヨガ、登山、DIYなど。
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