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日本国内には1,000万人をこえる腰痛患者がいるとされています。
実は腰痛には大きく分けると以下の2つの種類があります。
1. 急性腰痛
2. 慢性腰痛
そして治療法が異なるのです。
自分の腰痛はどのタイプと考えたとき自己判断はよくありません。
別の病気が疑われる可能性もあるためです。
腰痛は最初に整形外科で診断してもらいましょう。
しかし原因不明の慢性的な腰痛と診断されて
長期間続く場合は整形外の治療だけでは完治しないことが多いのも事実。
こちらの記事では、慢性の腰痛症が治りにくい原因・理由、
そして慢性腰痛でお悩みの方に効果的な腰痛改善方法をご紹介します。
最後まで読んで、腰痛改善にお役立てください。
慢性腰痛とは
厚生労働省がおこなっている「国民生活基礎調査」と呼ばれる、基幹統計調査をご存じでしょうか。
それによると、我が国の腰痛患者はおよそ1,000万人とされています。
人口1000人に換算するとおよそ90人が腰痛を持っている計算になり、堂々の有病率ナンバー1となっています。
慢性腰痛と急性急性腰痛の両者の違い
日本人の多くが腰痛に悩まされているのですが、実は、腰痛には確立された定義がありません。
主に痛みの出方や程度、症状が続く期間、発症原因などによって便宜的に分類されるのが一般的です。
腰痛は大きく分けると、慢性と急性の2つに分類されます(亜急性を入れるケースもあります)。
慢性腰痛
慢性腰痛はその名の通り、慢性化した腰痛です。
慢性腰痛の定義としては、発症してから3ヶ月以上に渡って継続する点が挙げられています。
・慢性腰痛有症期間
慢性腰痛の痛みが続く期間を、有症期間(ゆうしょうきかん)と呼んでいます。
慢性腰痛の有症期間は前述の通り3ヶ月以上であり、とくに上限はありません。
・慢性腰痛の症状
慢性腰痛の症状としては、腰部の鈍痛や違和感、動作時の痛みなどが挙げられます。
急性腰痛とは
急性腰痛は読んで字のごとく、突然のように起こる腰痛を意味します。
代表的な症例としてはぎっくり腰が挙げられます。
ぎっくり腰の原因としては、腰椎捻挫や椎間板ヘルニアといった疾患がよく知られています。
・急性腰痛の定義
急性腰痛の定義は、何らかの原因によって突発的な腰痛を発症する点です。
・急性腰痛有症期間
急性腰痛の有症は発症から4週間未満とされています。
・急性腰痛の症状
急性腰痛の特徴は、激しい痛みと可動痛に襲われる点です。
痛みのあまり、トイレにも這って行かなければならないケースもあるほどです。
慢性腰痛と急性腰痛の違いは原因の有無
慢性腰痛と急性腰痛の違いは、簡単に言うとはっきりした原因があるかどうかです。
そのため、整骨院などでは急性腰痛であれば健康保険が適用されます。
一方、慢性腰痛に関しては健康保険が適用されず、自費で治療を受ける必要があります。
腰痛が慢性化する原因
腰痛が慢性化する原因について解説する前に、慢性腰痛と急性腰痛の統計上の違いをご紹介します。
以下の図を見ていただくと、慢性腰痛がいかに治りにくいか分かると思います。
腰痛患者を観察したシステマティックレビュー
以下を追記ください。
腰痛治療の指針として、日本腰痛学会などが策定した、腰痛診療ガイドラインがあります。
そのなかで、急性腰痛と慢性腰痛の経過に関するシステマティックレビューが掲載されています。(※システマティックレビュー…複数の専門家が質の高い情報を網羅的に調査、および総括的に評価)
そこには、分かりやすいように痛みスケールを用いて、急性腰痛と慢性腰痛の経過が記されています。(※痛みスケール…左端を「痛みなし(0)」、右端を「最悪の痛み(100)」とした直線状で、自分の痛みがどのあたりかを示すなどの方法で算出されたデータ)
では、急性腰痛と慢性腰痛がどのように経過していくのか見てみましょう。
急性腰痛(痛みスケール) | 慢性腰痛(痛みスケール) | |
発症時(自覚時) | 52/100 | 51/100 |
6週間後 | 23/100 | 33/100 |
およそ半年後 | 12/100 | 26/100 |
およそ1年後 | 6/100 | 23/100 |
このデータから分かるように、急性腰痛の痛みはおよそ1年すると、発症時の1割程度にまで減少しています。
1割程度であれば、ほとんど何も感じないといってもよいでしょう。
一方、慢性腰痛の痛みは、およそ1年が経過しても、半分程度残っています。そのため、軽度から中等度の腰痛に悩まされ続けるケースが少なくありません。
腰痛の自然経過について
前掲の腰痛診療ガイドラインには、次のように記載されています。
「急性腰痛は自然軽快を示す例が多く、経過はおおむね良好である」
一方、慢性腰痛に関しては、次のように記載されています。
「慢性腰痛の自然経過は急性腰痛に比べて不良である」
上の表と、この文言から、慢性腰痛がいかに治りにくいか分かるのではないでしょうか。
腰痛が慢性化する原因は何
先ほどのガイドラインによると、腰痛が慢性化する原因として、次の点が挙げられています。
・心理社会的要因
症状回復に対してネガティブに考える方の場合、腰痛が慢性化する傾向にあるとされています。
実際、ネガティブに考える方の場合、腰痛のために3ヶ月以上仕事復帰できない割合が、そうでない場合の2倍になるといったデータもあります。
・不健康な生活習慣
身体的機能が低く、精神状態がよくない場合、腰痛が慢性化しやすいと考えられています。
運動習慣があり、野菜や果物を積極的に摂取し、タバコを吸わない方の場合、腰痛が早く改善するといった報告もあります。
慢性腰痛の治らないのはなぜ
ここまでの解説で、慢性腰痛が急性腰痛のようには治らないとご理解頂けたのではないでしょうか。
では、慢性腰痛が治らないのはなぜなのでしょう。
その理由としては、次のような点が挙げられています。
1. 整形外科では治らない
慢性腰痛が改善しない理由の1つが、整形外科の治療で治らないケースが少なくないからです。
慢性腰痛を見てもらいに整形外科を受診したものの、「少しも治らない」と訴えられる方はたくさんいらっしゃいます。
そのような方の多くが、「痛み止めやシップをもらっただけ」とがっかりされています。
整形外科では主に、レントゲンやMRIの画像診断に基づいた治療を行うのが一般的です。
急性腰痛の場合、画像診断によって腰椎捻挫や椎間板ヘルニアが原因だと判明するケースも珍しくありません。
原因がハッキリと分かる腰痛であれば、整形外科でも治療のやりようがある訳です。
ところが、慢性腰痛の場合、画像診断では異常が見られないケースも少なくありません。
そのため、慢性腰痛を治すための有効な治療が受けられないのです。
2. ペイン クリニックで腰痛ブロック注射が効かない
慢性腰痛が治らない理由としては、神経ブロック注射や痛み止めが効きにくい点も挙げられます。
本来、神経ブロック注射や痛み止めは、急性腰痛にともなう炎症を抑えるために用いられます。
急性腰痛の場合は患部に炎症を起こしているため、神経ブロック注射や痛み止めが有効なのです
一方、慢性腰痛の場合は炎症をともなわないため、神経ブロック注射や痛み止めが効きにくいのです。
3.手術では治らない
先述した通り、整形外科などの医療機関では、腰痛の原因をレントゲンやMRIなどの画像診断に求めます。
腰椎捻挫や腰椎椎間板ヘルニアといった基礎疾患が見つかれば、手術で病巣を取り除く方法が検討されます。
一方、慢性腰痛の場合は画像診断をおこなっても、なんら異常を認めないケースがほとんどです。
そのため、急性腰痛のように手術をして治すといった選択肢がそもそも存在しないのです。
4.慢性腰痛への薬の有効性は
慢性腰痛に対して推奨される治療薬としては、次のような医薬品が挙げられています。
・弱オピオイド
・セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
・非ステロイド系抗炎症薬
他にも慢性腰痛に用いられる治療薬はあります。
ただ、エビデンス(医学的根拠)の強さに欠けるため、こちらでは割愛しています。
弱オピオイドはコデインやトラマドールといった、軽度から中等度の痛みに用いられる治療薬です。
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬には、抗うつ作用や抗不安作用が特徴の治療薬です。
この2つに関しては、慢性腰痛治療に「効果の推定値に強く確信がある」Aランクの治療薬となっています。
非ステロイド系抗炎症薬に関しては、「効果の推定値に中程度の確信がある」Bランクの治療薬となっています。
慢性腰痛の有効な治療方法)
慢性腰痛は、急性腰痛に比べると自然経過が悪いとされています。
だからといって、慢性腰痛は治らないと悲観する必要はありません。
自然経過が悪いのであれば、急性腰痛よりも積極的に、慢性腰痛の改善へ取り組めばいいだけの話です。
慢性腰痛を治すためには、どのような治療を受ければ良いのでしょうか。
1.運動療法
慢性腰痛の有効な治療方法としては、運動療法が挙げられます。
先に紹介した腰痛診療ガイドラインでも、運動療法は「おこなうのを強く推奨する」ランク1の治療法です。
実際、運動療法をおこなった群と、何もしない場合とでは、1年後の再発率に大きな差が出ています。
また、運動療法をおこなうと、腰痛のために仕事を休む期間が減少したといったデータもあります。
身体および精神的機能の最大限の回復を図るのが、運動療法の目的です。
整形外科などの医療機関では、主に理学療法士が運動療法に取り組んでいます。
2.物理療法
慢性腰痛に対する有効な治療法としては、物理療法も挙げられています。
物理療法は、電気や光線、超音波、熱エネルギーなどを利用した治療法です。
具体的に言うと、牽引療法や超音波療法、温熱療法、TENS(経皮的電気刺激療法)などが挙げられます。
これらの治療法は、「おこなうのを推奨する」ランク2の治療法です。
TENSの具体例としては、低周波や干渉波、ハイボルトなどが挙げられます。
これらの治療法に関しては、整形外科以外にも、整骨院や接骨院で受けられます。
3.装具療法
装具療法は、簡単に言うと腰まわりにコルセットなどの腰痛帯を巻く治療法です。
装具療法に関しても、「おこなうのを推奨する」ランク2の治療法となっています。
前述の運動療法や物理療法は、腰痛予防にも効果的とされています。
一方、装具療法に関しては、腰痛を予防する効果は期待されていません。
まとめ
慢性腰痛は急性腰痛と比べた場合、自然経過が悪いとされています。
極端なお話をすると、急性腰痛は放置していてもいつかは自然に治ります。
しかし、慢性腰痛は何らかの策を講じない限り、いつまでたっても治らないのです。
だからといって悲観しなくても構いません。
自然経過が悪いのであれば、積極的な改善を図ればよいのです。
今回の記事を参考に、頑固な慢性腰痛の改善に取り組んでください。
この記事を書いた人
名前 | 整体師、療術院経営 塚本誠 |
職業 | 整体師、療術院経営者。 |
プロフィール | 東京都内で療術院を経営する整体師。早稲田大学を任意退学後、 整骨院で勤務をしたのち都内で整体院の院長を歴任。 セミナー講師やテレビ出演のかたわら、一般の方に医学的根拠 に基づいた情報を届けるべく執筆活動もおこなう。 |