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- 腰の痛み止めにはどんな方法がある?
- 腰の痛み止めの方法:病院とセルフケア
- 腰痛痛み止め効かない場合は
腰痛は、多くの方が抱えている国民病で、日常生活に支障をきたすこともある辛い症状ですね。
腰痛の原因は多岐に渡るため、一概に同じ対処法で症状が良くなるとは限りません。
また、身近でありふれた症状ながら、中には重篤な疾患が隠れている場合があるため、注意が必要です。この記事では、腰痛にはどんな種類があるか、病院で処方される痛み止めや自宅でできるセルフケアについて、内服薬が効かない場合の対処法についてご紹介します。
腰の痛みの原因と痛み止め方法
腰痛の原因には様々なものがあります。
そもそも、痛みはどのような仕組みで感じるのでしょうか。
参考引用)一般社団法人日本臨床内科医会(PDF)
https://www.japha.jp/doc/byoki/045.pdf
皮膚や筋肉に痛み刺激が加わると、電気信号が脊髄を伝わり、脳が痛みを認識します。
痛み刺激が加わる場所によって、痛みの性質が変わります。
また、脳が痛みを記憶することによって、刺激が加わらなくても痛みを感じてしまうことがあります。
腰痛の多くは神経や筋肉に由来するものですが、他にも内科疾患やストレスが原因となる場合があります。
それでは、原因ごとに詳しくみていきましょう。
① 神経の障害(腰椎椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症など)
脊髄の通り道は腰椎や靭帯などの複雑な構造で守られています。
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などで脊髄の通り道が狭くなると、神経が障害され痛みが生じます。
腰痛に伴って、脚の痺れや痛みが生じることがあります。長時間歩くと痛みが増す「間欠跛行」と呼ばれる症状も特徴的です。
まずは内服薬やブロック注射で治療を開始します。それでも症状がよくならない場合は、手術の適応となるでしょう。
① 関節や筋肉の機能障害(ぎっくり腰など)
無理な体勢や腰を捻る動作など、腰に物理的な負担がかかることによって腰の筋肉や靭帯を傷めることがあります。いわゆる「ぎっくり腰」と呼ばれる急性腰痛症の多くは、筋肉や関節、靭帯の損傷が原因と考えられています。
こけたり、尻もちをついたりした後に生じた腰の痛みであれば、腰椎骨折の可能性があります。
高齢の方の場合、骨が脆弱になっているために、誘因なく腰椎圧迫骨折を起こすことがあります。
長引く痛みがある場合はレントゲンやCTの検査をおすすめします。
治療は多くの場合は痛み止めの内服などの対象療法ですが、長期間に及ぶひどい痛みの場合は、ブロック注射を行うことがあります。
骨折であれば、手術が必要な場合もあるでしょう。
② 内科疾患など他の病気の影響(尿路結石、感染症、悪性疾患など)
腰痛に他の症状を伴う場合は、内科系疾患の可能性があります。
のたうち回るような激しい腰痛を生じるものとして、尿路結石があります。
腰痛に加えて発熱があるようなら、腎盂腎炎、骨髄炎、腸腰筋膿瘍などの感染症を考えます。
食欲不振や体重減少があれば、多発性骨髄腫や転移性腫瘍などの悪性疾患を疑います。
いずれの場合であっても、病院への受診が必須です。検査を行い診断がつけば、原因疾患の治療を始めます。
④ストレスなど心因性
精神的なストレスにより自律神経に不調をきたすと、筋肉が緊張したり血流が悪くなったりして腰痛が生じることがあります。交感神経の緊張を和らげるため、ゆっくり入浴するなどご自身がリラックスできることを試してみましょう。
また、強い痛みの経験や繰り返される痛みがあると、脳が記憶した痛みを再現し、それを実際の痛みとして感じることがあります。
このような心因性疼痛の場合、認知行動療法などの精神科的なアプローチが効果的な場合があります。
腰痛の痛み止め 病院で診てもらう場合
神経の障害や筋肉に由来する腰痛に対して、病院では投薬や神経ブロックなどの痛み止めを行っています。
セルフケアでは、市販の薬や湿布等を使用するかと思いますが、病院では市販薬にはない種類の薬剤も使用して痛み止めと行います。
セルフケアで痛みが改善しない場合は、ぜひ病院への受診をご検討ください。
また、神経ブロックや関節内注射、トリガーポイント注射などを行うこともあります。
病院では以下のような腰痛の痛み止めを行っています。
・腰椎椎間板ヘルニア
・脊柱管狭窄症
・腰椎すべり症
・腰椎椎間関節症
・仙腸関節炎
・筋筋膜性疼痛
また、ぎっくり腰などの急性腰痛の激しい痛みや腰椎椎間板ヘルニアなどの神経性の痛みには病院で行う以下のような痛み止めがあります。
病院で行う腰痛の痛み止め
病院で行う痛み止め治療のひとつに、神経ブロック注射があります。
神経ブロック注射とは、痛みの原因となっている神経の周囲に局所麻酔薬をはじめとする薬剤を注射することで、痛みを軽減するものです。
以下では、腰痛の治療で行われるブロック注射について、いくつかご紹介します。
1硬膜外ブロック
硬膜外ブロックは、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの神経障害性疼痛の痛み止めに広く行われています。
脊髄はくも膜や硬膜といった膜に覆われ守られています。
硬膜外ブロックでは、硬膜の外側の硬膜外腔と呼ばれるスペースに局所麻酔薬を注入します。
患者さんは膝を抱えるような体勢で横向きに寝ていただき、背中から注射をします。
中枢神経に作用させるため、強い鎮痛効果があります。ただし、硬膜外腔には小さな血管が多く存在し、ワーファリンなどの血液をサラサラにする薬を飲んでいる方には施行できないことがあります。
2神経根ブロック
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などで神経根を圧迫している場合、神経根ブロックを行うことがあります。
神経根は首から腰まで全部で31対存在します。それぞれに支配する領域が決まっているため、神経根ブロックは痛みが局所的、また左右のどちらかである場合に有効です。多くの場合、透視装置で神経根の場所を確認しながら注射をします。
3椎間関節ブロック
椎間関節ブロックは、椎間関節症による痛みがある時に行います。
脊椎は椎骨が積み重なった構造をしており、後方で上下の椎骨が接している場所を椎間関節と呼びます。腰の正中よりもやや外側に、押したり体勢を変えたりすると痛む場所がある場合、椎間関節の痛みであることがあります。透視装置やエコーで椎間関節の場所を確認しながら、注射を行います。
4トリガーポイント注射
トリガーポイント注射は、ぎっくり腰をはじめとした筋や筋膜に由来する痛みに対して行います。
指圧で痛みが生じる場所に注射を行う方法です。筋膜の癒着を剥がしたり、血流を改善させたりすることによって痛みを軽減します。注射する薬剤は局所麻酔薬や鎮痛薬の場合が多いですが、生理食塩水でも効果があるため、アレルギーなどで薬剤が使用できない場合も行うことができます。
腰痛痛み止め病院のお薬と市販薬の違い
市販薬は、医師による処方箋なしで薬局やドラッグストアで入手可能な医薬品です。
病院での受診を経ることなく入手できるため、ちょっとした症状や病院を受診する時間がない時に便利です。
どの薬剤がいいか迷う場合、窓口で薬剤師に相談することも可能です。
痛みに対して使用できる市販薬も、いくつかの種類が販売されており、用途に応じて選んで使用することが可能です。
一方で、副作用が出ることがある薬や麻薬性鎮痛薬などは、病院でしか処方することができません。
また、同じ成分の薬でも、病院で処方されるものと比較して市販薬だと含有されている成分量が少ない場合があります。
腰の痛みのセルフケア
一口に腰痛と言っても、症状や原因は人それぞれ異なります。
運動した・重いものを持ち上げたなど、原因がわかっている腰痛は、まずは安静にして自宅で様子をみていただいて問題ないでしょう。
以下では、病院に受診する前にご自身で行えるセルフケアについてご紹介します。
飲み薬
市販の痛み止めを使用する場合は、解熱鎮痛薬と表示があるものをご使用ください。成分としてはロキソプロフェンやアセトアミノフェンなどが含まれていることが多く、腰痛に対しても使用できます。
湿布
湿布薬の主成分としては、ロキソプロフェンやジクロフェナク、フェルビナクがありいずれも腰痛に有効です。また、湿布剤のタイプとしてパップ剤とテープ剤があり、突然現れた痛みであれば、冷感のあるパップ剤が適しているでしょう。
ストレッチ
急に生じた痛みであれば、まずは安静にする必要があります。しかし長く続いている慢性痛の場合は、筋肉の癒着や血流を改善させるために、適度な運動やストレッチを行うことが大切です。
腰痛の痛み止めは冷やす温める?
腰痛をセルフケアする場合、冷やすべきか温めるべきか悩むことあるかもしれません。基本的には、何かのきっかけがあって急に生じた腰痛であれば冷やし、長く続いている腰痛であれば温めることが効果的です。
・急性腰痛
急性腰痛の多くは筋肉や靭帯、関節の炎症に由来するものです。
炎症を抑えるため、まずは冷湿布などを用いて冷やすといいでしょう。
・慢性腰痛
慢性的な腰痛の場合は、筋肉の癒着や血流障害が原因となっている場合が多いです。
この場合、入浴する、温湿布を使用するなどの方法で患部を温めることで、症状が改善しやすいです。
腰痛痛み止め効かない場合は
セルフケアで痛み止めが効かない、また長く続く場合は、病院の受診をおすすめします。
神経ブロックや内服治療など、ご自身に合った対症療法を医師と共に探しましょう。
また、腰痛の原因次第では、手術をはじめとした原因疾患の治療が必要です。いずれにしても、セルフケアで改善に乏しい腰痛の場合は病院を受診しましょう。
腰痛予防対と再発防止も万全に
「ぎっくり腰」と呼ばれる急性腰痛症は、一度経験するとその後何度も繰り返すことがあります。重いものを持ち上げること以外にも、くしゃみや振り返る動作などちょっとしたことがきっかけになります。
腰を支える筋肉や靭帯、関節を傷めることが原因であるため、腰回りの柔軟性や筋力を保つことが予防に繋がります。
サポーター・コルセット
サポーターやコルセットは、装着することで筋肉や靭帯と同様に腰を支えます。
長時間の立ち仕事や物を運ぶ時に装着すれば、腰の負担を軽減することができます。
予防スチレッチ
腰回りのストレッチを行うことで、筋肉の柔軟性が向上し腰を傷めにくくなります。ストレッチの動作自体が腰を傷める可能性もありますので、ストレッチを行う際には無理のない範囲で少しずつ行いましょう。
筋トレ
腰はいくつもの筋肉によって複合的に支えられているため、加齢などで筋力が低下すると、一部の筋肉に負担がかかってしまいます。腰回りの筋力を高めることで、腰を支える力が増し、一部の筋肉だけに負担がかかることが避けられます。
まとめ
多くの人が抱える腰痛に関して、原因や治療、予防法をご紹介しました。
腰痛は、一度発症すると日常生活に支障をきたすこともあるつらい症状です。原因次第では、手術をはじめとする治療が必要なこともありますので、痛みが続く場合は病院でご相談ください。
セルフケアと病院での治療を組み合わせることで、うまく付き合っていきましょう。
この記事を書いた人 医師兼ライターTOMOKO
名前 | TOMOKO |
職業 | 職業・資格 |
プロフィール | 職業:麻酔・ペインクリニックを専門とする医師。 手術麻酔や術後管理に従事するかたわら、肩こりや腰痛に代表される 慢性痛の診療にも尽力しています。 ライターとして 「tomoko」のニックネームで医療系記事を中心に 執筆活動も実施。趣味はヨガ、登山、DIYなど。 |