「腰から足にかけての痛みが片側に」腰痛足の痺れの原因と治し方

腰痛と脚のしびれ

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  1. 腰から足にかけての痛みが片側に出る
  2. 慢性的な腰痛で左足、右足の片側にしびれが出る
  3. 病院は何科に行けばいい治療方法は

腰痛にお困りの方はたくさんいらっしゃいますが、腰から足にかけての痛みを同時にお持ちの方も多いのではないでしょうか。

腰痛の原因となる腰部椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症では、片側の足の痛みや痺れが出ることがあります。

腰を反らせると症状が出る、腰から足にかけての痺れのため長く歩けない、座っている状態から立ち上がるのが辛いなど、人それぞれに違った症状があるでしょう。

この記事では、腰から足にかけての痛みがなぜ生じるのか、病院は何科を受診すればいいのか、治療方法には何があるのか、などをご紹介します。

この記事を書いた人

名前 医師兼ライターTOMOKO
職業・資格 麻酔・ペインクリニックを専門とする医師
プロフィール 手術麻酔や術後管理に従事するかたわら、肩こりや腰痛に代表される
慢性痛の診療にも尽力しています。
ライターとして 「tomoko」のニックネームで医療系記事を中心に
執筆活動も実施。趣味はヨガ、登山、DIYなど。
目次

腰から足に痛みや痺れが片側に出る

腰痛をお持ちの患者さんでは、しばしば腰から足にかけての痛みや痺れが片側に生じることがあります。腰痛からくる足のしびれは、下肢へ向かう神経が障害されることによって起こります。下肢へ向かう神経は、腰の辺りで脊髄から分岐するため、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などで神経の通り道が狭くなると、腰から足にかけての痛みや痺れの症状が出るのです。神

経が障害されている時の具体的な症状としては、

  •  腰から足にかけての痛み片側に出る
  • 片足の足の感覚が鈍い
  • 腰痛と左足・右足片方の痺れがある
  •  腰痛とお尻に痺れがある

などがあります。

このような症状の場合

  • 病院は何科に行けばいいのでしょうか?
  • どのような検査をすれば良いのでしょうか?

整形外科で診断を受けるのがおすすめ

上記のような症状が出た場合は、一度病院を受診することをおすすめします。腰痛の治療は内科、整形外科、ペインクリニック科などで行っていますが、まずは整形外科を受診するのがいいでしょう。

整形外科を受診すべき理由①原因が多岐に渡り専門的な対応が必要

整形外科を受診すべきひとつ目の理由としては、骨や筋肉など運動器の専門であり、腰痛の原因を調べるために行う検査の手段が豊富にあるためです。腰から足にかけての痛みが出る原因として、多いものでは腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症がありますが、その他にも腰椎骨折や腰椎椎間関節症、仙腸関節炎、梨状筋症候群など多くの疾患が考えられます。

原因が多岐に渡るため、いくつもの身体診察や検査を行った上で、診断をつける必要があります。簡単に行える検査としては腰部のレントゲン撮影がありますが、より詳しく調べるために、MRIや椎間板造影、神経根造影などを行うこともあります。

整形外科を受診すべき理由②手術が必要なケースも

整形外科を受診すべきふたつ目の理由としては、腰痛の治療で手術が行えるのは整形外科だけだからです。

手術が考えられる病名

  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 脊柱管狭窄症

腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の治療は手術になることもあります。

腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症では、神経の圧迫症状が高度な場合、神経の圧迫を解除する手術を行います。

手術を行うべきかどうかは整形外科医の判断となりますので、通院していた内科やペインクリニック科から、整形外科に紹介されることも多くあります。

反対に、腰痛の原因として内科疾患が疑わしい場合や、治療のひとつとして神経ブロック注射を選択する場合など、整形外科から内科やペインクリニック科に紹介されることもあるでしょう。

専門的な検査を行い、手術が必要かどうか判断してもらうために、まず初めは整形外科を受診してみてください。

腰痛と片足の足の痺れの原因

腰痛からくる足のしびれにはいくつか原因があります。

まず考えられるのは、腰のあたりで神経が圧迫されることです。

腰のあたりの痺れ

脊髄や神経根は骨や靭帯で囲まれた狭い空間を通っており、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症ではその通り道が細くなることで神経を圧迫します。

神経根が圧迫された症状として、腰痛やお尻のしびれ、足のしびれなどが生じます。神経根は、脊髄から出ている左右に対になった神経であるため、どちらか一方のみが圧迫されると左足のしびれや右足のしびれが現れます。

お尻や足の痺れ

次に考えられるのは、腰の痛みの放散痛としてお尻や足のしびれが出ている場合です。

腰椎椎間関節症や仙腸関節炎といった疾患では腰の関節の炎症のため腰痛を生じますが、お尻や足にも痛みやしびれが広がることがあり、これを放散痛と呼びます。腰を後屈させると症状が悪化したり、腰のあたりで押して痛い場所がある場合は、これらの疾患を疑います。

腰痛足の痺れ治し方

腰痛からくる足の痺れがある場合、どのような治療法があるでしょうか。

ここでは主な治療方法として3つの方法をご紹介します。
1. 内服加療
2. 神経ブロック注射
3. 手術

内服加療

まず一つ目は、内服加療です。代表的なものとしては、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、オピオイドなどが使用されます。アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(ロキソプロフェンなど)は市販薬にもあるので、急な症状の出現や病院を受診できない時などに使用できます。

神経ブロック注射

二つ目は、神経ブロック注射です。痛みや痺れの原因となっている神経に対して、局所麻酔薬等を使ってブロック注射を行います。一度の注射で劇的に良くなることもあれば、何度か繰り返し注射が必要なこともあります。

手術

三つ目は、手術です。腰から足にかけての痛みがひどい場合や、足の筋力低下がある場合などには手術が検討されます。神経の圧迫をとるため唯一の根本治療ですが、手術や全身麻酔に伴って合併症が起こる可能性があることや、手術をしてもしびれや痛みの症状が残る場合もあることから、主治医とよく相談した上で選択することが必要です。

その他の治療法として、運動療法、牽引療法、コルセット装着などがありますが、やり方を間違えると症状を悪化させることがあるため、医師と相談の上行うようにしてください。

腰椎椎間板ヘルニア

どんな病気
腰椎椎間板ヘルニアでは、腰椎の間にあってクッションの役割をしている椎間板という軟骨が後方に飛び出ることで神経を圧迫します。椎間板脱出による炎症や、神経根の圧迫により、腰痛や足のしびれが生じます。20〜40代の若い世代で、男性に多く発症します。

腰椎椎間板ヘルニアの腰痛と足の痺れの関係

後方に飛び出た椎間板ヘルニアが神経を圧迫することで痛みや痺れの症状が出ます。多くの場合でヘルニアは左右どちらかに偏って飛び出るので、片側のみで症状が出現します。ヘルニアの場所によって、足のどの辺りが痺れるかが変わるので、症状からどこにヘルニアが起きているか推測します。

症状や痛み 急性期)

初期症状は腰痛が主であることが多いです。典型的には、重いものを持ち上げるなどのきっかけで、急激で体を動かせないほどの腰痛が出現します。2、3日は無理せず安静にする必要があります。

症状や痛み 慢性期)

発症してしばらく経つと、腰痛の痛みは徐々に緩和され症状が改善してきます。ただし咳やくしゃみをすると痛むため、咄嗟に腰を庇うようなこともあるでしょう。腰痛が落ち着いてくるのと同時に、足の痛みやしびれが出てきます。軽ければ少し違和感がある程度ですが、ひどい場合は足の筋力が低下し、足先が持ち上がらずうまく歩けなくなることもあります。

検査・診断)

まずは症状の経過を聞いたのち、身体診察を行います。横になった状態で足を挙上することで痺れがひどくなることを、神経刺激徴候と呼び、ヘルニアなどで神経が圧迫されている場合に特徴的です。

また、膝やアキレス腱を軽く叩き、深部腱反射が低下していないかどうかを確認します。身体診察の結果、腰部椎間板ヘルニアを疑えば、画像検査を行います。レントゲン検査は、一番初めに行われることが多い画像検査です。

簡単に行うことができる一方で、得られる情報が限られており、また読影には専門的な知識が必要です。
より詳しい検査が必要であれば、MRI検査を行います。MRIでは、骨や軟骨、神経に関してより詳細な情報が得られます。ヘルニアの場所や、どの神経を圧迫しているかなどを知ることができるので、手術を検討する上では必須の検査です。その他、特殊な検査として、脊髄造影、椎間板造影、神経根造影などを行う場合もあります。

治療方法)

足の筋力が低下したり、数ヶ月治療を行なっても腰や足の痛みがひどい場合は、手術が検討されます。

また、馬尾症候群といって、巨大なヘルニアの影響で尿失禁(または尿閉)、便失禁、足の深部腱反射の消失などが生じている場合は、早急な手術が必要となります。

一方で、安静や内服加療のみで腰痛や足のしびれが改善することも多くあります。手術を行なっても、必ずしも痛みや痺れが取れるわけではないため、症状が軽度であれば手術を行わない保存的加療を選択することが多いです。

補助的な治療として、神経根ブロックや硬膜外ブロックのような神経ブロックを行う場合もあります。

脊柱管狭窄症

どんな病気
脊椎が変性したり靭帯が分厚くなったりすることで、神経の通り道が細くなる疾患です。脊椎や靭帯の変性は加齢によって起こるため、高齢者で多くみられます。

脊柱管狭窄症の腰痛と足の痺れの関係

脊椎や靭帯の変性により、脊髄や神経根の通り道が狭くなると、神経が圧迫されて痛みや痺れが生じます。腰痛はそれ程ひどくならず、お尻や足のしびれや脱力感といった症状が主となります。

また、脊柱管狭窄症に特徴的な症状として間欠跛行(かんけつはこう)があります。間欠跛行とは、歩いているうちにお尻や足のしびれや脱力感が生じ、座って少し休憩することで症状が速やかに改善することを言います。

脊柱管狭窄症では姿勢によって神経を圧迫する程度が変わるため、神経の圧迫が解除されると症状が楽になるのです。

症状)

脊柱管狭窄症による腰痛や足のしびれは、突発的に激しい痛みが生じる腰椎椎間板ヘルニアと異なり、徐々にゆっくりと進行することが多いです。初めは少しの休憩で長く歩けていたのが、神経の圧迫が進行すると徐々に続けて歩ける距離や時間が短くなります。

検査・診断)

脊柱管狭窄症の検査も、腰椎椎間板ヘルニアと同様に身体診察やレントゲン、MRIを行います。症状の原因となっている神経根を調べるために、神経根造影や神経根ブロックを行う場合もあります。

また、間欠跛行を生じる別の疾患として、閉塞性動脈硬化症などの下肢の動脈疾患があり、これらとの鑑別のために血管超音波検査や血圧脈波検査などを行うことがあります。

治療方法)

間欠跛行が進行すれば、手術を検討することになります。手術では、脊椎の一部を取り除くことで神経の圧迫を解除します。

ただし、脊柱管狭窄症を患っているのは高齢者が多いことから、全身麻酔や手術による合併症の頻度が高くなるため、安易に手術を選択することは避けられます。

内服加療や神経ブロックなどで、生活に支障が出ない程度に症状を抑えられる場合も多いため、まずは保存的加療を行います。

また、足のしびれや痛みの症状のために、外出することが億劫になりがちですが、筋力低下や廃用を防ぐために活動を制限しないことが大切です。積極的な運動療法に関しては、医師に相談の上行ってください。

まとめ

腰痛からくる足のしびれについて、原因や治療法をご紹介しました。

腰痛と同時に、足やお尻のしびれをお持ちの方は多くいらっしゃるでしょう。

原因が多岐に渡るため、その症状がなぜ起こっているのか、まずは診断をつける必要があります。それぞれの患者さんの生活様式によって、困っている症状や治療のゴールは異なります。

自分に合った治療法を見つけるため、ぜひ専門の医師を受診してみてください。

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